記録管理学会震災復興支援委員会

ニューズ・レター 第7号 (19964)


ご挨拶

震災復興支援委員会委員長 高山正也

 (記録管理学会会長)

 

 昨1995年2月17日の理事会に於いて、当委員会の設置が承認され、以来、会員各位、関係者各位の熱意とご協力の下に当委員会では支援事業として、義捐金の募集、被災状況の把握等の関連情報の収集、被災会員への支援活動等を展開して参りました。この間、会員各位より当委員会によせられたご芳情に、紙面を借りて、厚く御礼申し上げます。皆様のご厚情はきっと被災会員の皆様にとって、大きな励ましになったことと確信いたします。我々、記録管理に関心を持ち、記録管理の業務に携わるものが、互いに仲間意識を持ち、同じ学会の会員として、相互に助け合うことは当然でもあり、このことを通じて、多くのことがお互いに学べたことと思われます。
 ご承知のように、被災地では、既に災害より1年半近くの時間の経過に伴い、表面的には一応の落ちつきを見せております。第三者にとってはその惨烈な被害の記憶も徐々に薄れてはおりますが、被災者にとっては、復興への過程で、新たな種々の困難や、さらにはこの1年半に及ぶ、苛烈な体験に伴う、心身両面でのケアーの必要性が、被災直後にも増して、必要となってきていることは各方面から指摘されているとおりです。この時期に当たり、記録管理学会として、今次の震災被害に遭われた皆様に、更に息の長い、しかも広範囲に及ぶ支援の必要性を痛感しております。
 しかし、この1年余に及ぶ、震災復興支援委員会の活動では、今後の息の長い多面的で多角的な支援活動に十分に対応できないと危惧するにいたりました。また、単に記録管理学会というわずか会員数150名前後の小さな枠に閉じこめられた活動ではなく、より広く、社会的なつながりの中での、ダイナミックな救援活動こそが今後真に求められるということにも思い至りました。そこで、記録管理学会の震災復興支援委員会は、今年も被災学会員に対し、学会費や学会研究大会への参加費の一部補助という活動を継続いたしますが、これをもって当面の活動を終え、解散することと致しました。是非対象となる学会員の方は、当委員会または、学会の今期の理事までご連絡下さい。もとよりこれは先に述べたように、もはや被災者が支援・援助を必要としていないということを意味するわけではありません。要は記録管理学会の被災者を含む全被災者を対象に、今後ともより広い視野の下で、一人一人の被災者が必要とする援助を、一人一人の全学会員が提供するという意味なのです。更に規模の大きな、より本格的な支援やお手伝いをしなければならないという意味です。
 このために、ここにいったん本年の5月末日をもって、震災復興委員会の活動を終わらせることを皆様にお知らせし、今後は、一委員会の活動としてではなく、全学会員に学会全体として、復興の支援やお手伝いを続けるという形に変えることをお知らせかたがたお願いするものです。最後に重ねて、当委員会に今までご芳志やご好意をお寄せいただいた各位に厚くお礼申し上げます。また、震災復興支援委員会の活動に献身的にご協力いただいた、戸田光昭氏(駿河台大学)と浜田行弘氏(関西学院大学図書館)のお二人には特にその名を挙げて、ご協力に感謝いたします。

 

 震災復興支援委員会会計報告(平成8年4月5日現在)

  4月1日現在繰越額          101,043円

  平成8年度分学会費補助(11名分)   55,000円

  平成8年度学会大会参加費補助      20,000円

  差引残高(4月5日現在)        26,043円

〔注〕残高はニューズ・レター総集編の編集・発行費の一部に充当し、ニューズ・レターの編集・発行が完了した時点で、残金は0になる予定です。


 阪神大震災に学ぶ

震災復興支援委員会副委員長  戸田 光昭

 あれから、1年3ヶ月を経過し、地元では相変わらずの生活が残っているにもかかわらず、関西以外の地域の人々は、遠い昔のように忘れてしまったようである。しかし、大震災は多くの教訓と影響を我々に残してくれた。これを忘れずに継承し、記録し生かしていくことが重要である。
 NGO救援連絡会議の文化情報委員会(現在は、震災記録情報センター事務局長)として、現場で活動してこられた坂本勇さんが先日私の勤務先を訪れ、様々の体験を話しておられた。その中で印象的だったのは、現場の状況記録の重要性ということであった。
 新聞、雑誌、図書などのマスコミは多くの記録を残してくれたが、それは必ずしも現場の生の記録ではない。マスコミ用として作られた記録である。あのような未曾有の災害の現場にあって、関係した人々はどのように行動し、その時、何を考え、その場で何を語ったかを忠実に記録したものは、ごく少数しかないであろう。それは、例えば会社の業務記録であり、あるいは役所の業務日誌であり、あるいは個人の日記であろう。
 このような記録が世に出るのは、かなり後になるか、あるいは永遠に発表されないかも知れない。しかし、出来るだけ多くを後世に伝え、役立てるには、真実に迫る記録が望まれるのである。
 記録管理学会が昨年2月7日に坂本勇さんの助言と尽力をいただいて、神戸と明石の現状視察を行った時に撮影したビデオ映像は上記の意味での現場に近い記録として、坂本さんに評価していただいた。編集などは全く行っていないものであるが、学会として、何かの機会に多くの人に見ていただくことにしたいと考えている。そこから、多くのことを学ぶことが可能であろう。


 

〔資料紹介〕

 激 震  そのとき大学人は

   -阪神・淡路大震災 関西学院報告書-

植村達男(住友海上・情報センター長)

 本学会員浜田行弘氏勤務の学校法人関西学院(中・高・大学)が、阪神大震災発生後1年1カ月を経た1996年2月17日付で掲記書籍を日本経済評論社から発行した。
 本書は300ページ近い大部の書。もともと震災1周年の1996年1月17日に『阪神・淡路大震災 関西学院報告書』という名称で学内資料として発行された。この学内資料は「大学における危機管理のための記録文書」としての性格をもつ。そこで1カ月後に一般の市販図書として公刊されることになった(定価3600円)。
 以下は同書の目次の抄録。第III章では図書館の項も設けられている。

  将来に生かしたい貴重な体験 宮田満雄 関西学院院長

  阪神・淡路大震災を経験して 武田 建 関西学院理事長

 

  I 震災の概要・学院の被害

  II 学院・大学の対応

  III 各部課の対応

      :

    学院史資料室

      :

    大学図書館(運営課、整理課、閲覧課、雑誌資料課)

      :

  IV 高等部・中学部の対応

  V ボランティア活動

  VI 危機管理

  VII 資料

    資料1.全学連絡会・災害対策本部会議の記録

    資料2.大学から全学生・保証人に郵送した通知

    資料3.報道機関に配布した広報資料

    資料4.1月31日に再開された週刊広報紙

    資料5.新聞広告

    資料6.震災関連の新聞記事

    資料7.大学教員組合のアンケート

    資料8.高中教員組合のアンケート

    資料9.職員組合のアンケート

    阪神・淡路大震災関連日誌

  あとがき

 上記の抄録の中で、第VII章資料の部分のみ、細目を掲載した。この部分には地震発生後に作成された印刷物や新聞広告の実物が収録されている。このあたりの配慮が本書のセールス・ポイントのひとつであろう。


《編集者から》

 昨年1月17日から、本当に多くの経験をしてきました。「ニューズ・レター」の編集を担当する機会をいただいたことも、もちろんそのひとつです。記録管理学会の皆様には、義捐金をもとに学会費を免除していただき、また、暖かいお見舞いとご配慮をいただきました。この場をお借りして心から厚くお礼申し上げます。
 震災に関して自分自身の事柄を述べるのは、複雑な気持ちになるのが正直なところです。多くの犠牲と被害があったにもかかわらず、震災のお陰で経験することができたというような感じが、どうしてもつきまとうからです。多くのお見舞いとご支援も、他では得られない貴重な体験も、本当は無いほうが望ましいものではないか、あるいは、もともと当たり前のことではないか、などと恥ずかしく思うこともあります。
 とはいっても、被災地において突然始まって、現在も続いているさまざまな出来事は、確かな事実です。少しでも多くの人達に震災の実態を知って経験を生かしていただこうとすることは、情報を伝えて記録を残すという行為によって可能なものです。前号にも書いたように、全7号の「震災復興支援委員会ニューズ・レター」の情報も、記録のひとつとして、少しでもお役に立つことがあればと願っています。
 「ニューズ・レター」の原稿と、『レコード・マネジメント』の編集でお世話になりました関係の皆様に、厚くお礼申し上げます。最後に、震災復興支援委員会においても多くのご指導をいただきました高山正也氏と戸田光昭氏に、深く感謝申し上げます。
                             (ニューズ・レター編集担当  浜田 行弘)

 

ニューズ・レター編集連絡先

  飯能市阿須698(〒357) 駿河台大学文化情報学部

  戸田 光昭 (震災復興支援委員会副委員長)

  e-mail : MAH00666@niftyserve.or.jp


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