記録管理学会震災復興支援委員会

ニューズ・レター 第5号 (199510)


記録管理学会震災復興支援委員会委員長 高山正也
(記録管理学会副会長、慶應義塾大学文学部教授)

会計報告

 ニュース・レター第4号以降の会計上の変動はありません。平成7年10月1日現在の残高は91,000円です。
 なお、震災復興委員会では9月30日をもって、義捐金の募集を終了いたしました。
 お寄せいただいた会員各位のご厚意に深く感謝いたします。

神戸大学の震災被害

報告者:関口秀子(神戸大学)、高山正也(慶應義塾大学)

その1;[神戸大学附属図書館の震災被害状況]

 今次の震災において、神戸大学附属図書館も大きな被害を受けた。記録管理学会の会員の関口秀子氏の所属される神戸大学附属図書館の被害状況がいくつかの資料から把握できたので、筆者(高山)の責任において、その概要をここにまとめて報告させてもらう。

 

1.被害状況

(1)人的被害

 今回の最大の被害者グループは学生であった。留学生7名を含む39名の死者と500名を越える負傷者が生じた。図書館職員には、死者、重傷者はなかった模様であるが、この記事にご協力をいただいている関口氏も住居を無くされた。

(2)資料の被害

 館内にあって被害を受けた資料と、貸し出されて帯出者の手許で被害にあった資料に分けられる。図書館に火災が発生しなかったので、図書館にあった資料は書架からの落下等による損傷が主であり、修復可能なものが大半と見られる。
 一方、帯出者の手許で被害にあったものは、家屋の倒壊や焼失により、完全に失われたり、修復不能なものが多数に上る。その詳細は未だ不明である。

(3)建築物の被害

 図書館本体の被害は軽微であったと伝えられている。但し、増改築に伴う建物の新旧の接合部分に被害が多く見られている。また、重量の大きい周密書架が原因となって、天井や床に破損が生じている。窓ガラスは、家具等の転倒によるものの外は地震の揺れそのものによる損傷は無かったという。

(4)書架の被害

 建物と一体となった積層式書架には、一部の設計どうりに施工されていなかった書架を除き、被害はない。
 書架の被害は次の順に大きくなった。

   開架閲覧室の上部連結書架

  壁や柱に転倒止めをした書架

  床置きだけの書架

 その他、被害の特徴は次の通り。

天板が木製の上部連結書架は、連結仕様がスチール部分に達していないと効果が薄く、転倒する。

資料の重量が大きいほど書架の転倒やねじれが大きい。

製本雑誌等、滑りやすい表紙の資料の落下が多かった。

簡単な転倒防止金具などは簡単に引きちぎられて効果が薄い。

床置きしただけの書架はほぼすべて転倒した。

(5)その他、施設・設備の被害

電算機器

 電算関連機器やネットワーク関連機器は、他の家具の転倒の直撃を受けたもの以外被害はなかった。端末などの専用デスクに載せておけば、デスクごと場所は動くが、転倒はしない。一般に電算機器の耐震効果は大きい。

事務室

 事務室書類収納用の二段キャビネットはほぼ全て落下した。壁面収納システムは被害が無く、施錠してあれば中のファイル類も無事であった。複写機、ファックス、ワープロ等もそれ自体が転倒・落下して破損したものはなかった。
 一般の脚部にコロをうまく組み込んだ機器や家具は転倒していない。デスク上の端末や電話機など、下部にゴムの滑りどめを付けたものは落下しなかった。

 

2.復旧状況

 概ね、次のような順序で復旧した。

  1月17日:震災当日より休館

  1月21日:職員安否確認作業終了

  1月23日:記録保存作業終了

  1月27日:電算機システム及びネットワークの確認作業終了

  1月30日:図書館開館、受け入れ・目録等通常作業再開

  2月 9日:書庫利用再開

  2月20日:相互利用再開

 

3.復旧の基本方針

 図書館がもっとも必要とされる時期に被災したため、部分的にも早急に開館すべきとの見解の下に下記の手順で復旧にとりかかった。

 (1) 事務室の整備

 (2) 電算システムの確認

 (3) 閲覧室の整備

 (4) 開架閲覧室の整備

 (5) 開架閲覧・貸出サービスの開始

 (6) 書庫の整備

 (7) 書庫の利用開始

 (8) 相互利用サービスの開始

[]:以上の情報は、学会員である関口秀子氏が所属する神戸大学の「神戸大学附属図書館報」並びにインターネット上に報告された「神戸大学附属図書館と阪神大震災」に依っていることを付記する。
(文責:高山正也)

 

その2;[神戸大学研究施設等の被害状況]

「神戸大学学報」No.461に依れば、研究施設等の被害状況の概略は次の通りである。

 

1.建物の被害状況について

壁面にクラック、及びタイルの剥離を生じたものがあり、改修等にはかなりの時間を要するが、当面の研究には特段の支障はない。

高置水槽や給・配水管破裂等の被害もあったが、現在は復旧済みである。

 

2.研究用機器等の被害状況について

(1)人文社会科学系学部・研究科等について

多くの書架・書類棚等が、倒壊・捻れにより使用不能となった。そのため、一部の研究室は入室不能となった。また、研究用機器類等の多くが落下・倒壊等により使用不可能な状況となり、修繕等の対応が必要になった。

(2)医・理工系学部・研究科等について

多くの書架・書類棚等が、倒壊・捻れにより使用不能となった。

研究用機器類、及び実験実習用の機械器具類についても、落下・倒壊及び給排水管の破裂に伴う漏水等により相当数が破損しており、使用不可能な状況となり、修繕等により対応した。

 

3.被害額について

 建物・土地及び設備の災害復旧に要する費用は、3月時点の調査で約76億円と見込まれている。

< (資料提供:関口秀子、文責:高山正也) )>


震災復興支援委員会専用のフォーラム(正確にはホームパーティー)をNIFTY-Serveに開設しております。
 NIFTY-Serveに加入していない会員へも主要なニューズは速くお知らせしたいので、関心のある方は、E-MailのIDを戸田光昭へ送っていただけば 好都合です。
 ホームパーティーの番号は次の通りです。 ID:MAH00666, PASSWORD:RISK-1
 戸田光昭のE-MailIDMAH00666@niftyserve.or.jp


ニューズ・レター編集連絡先:

   飯能市阿須698 (357) 駿河台大学文化情報学部  戸田 光昭

          (記録管理学会理事、震災復興支援委員会副委員長)

編集担当:浜田 行弘(記録管理学会会員)


記録管理学会 > 学会活動のページ> 震災復興支援委員会'95-'96