「原点回帰 記録管理学とは何か?」~理論と実践の視点から~
安澤先生の論考「記録管理学を考える」の紹介
大会実行委員長 石井幸雄
今年度の研究大会は、『原点回帰 記録管理学とは何か』をテーマとし、記録管理学という学問分野が成り立つ所以について、様々な議論の場を作ろうと考え、1月発行のニュースレターに研究大会プレ案内を投稿しました。文中には、皆様との議論のきっかけとなるよう、本会初代会長安澤秀一氏(名誉会員)の論考『記録管理を考える』(レコード・マネジメントNO.1、1989)より記録管理学に関する作業仮説と検証の手続きに結びつくような分析の枠組み図を引用させて頂きました。
2月1日、安澤先生よりメールが届きました。事前に許可を得ず引用したのでお叱りのメールかと思いましたが、そうではなく、28年前の論考を補足強化するものでした。
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昨1月31日に拝受した「RMSJ News Letter」(No.77)に28年前に書いた「知的資産としての記録群」についての分析枠組図を見出し、驚くとともに、28年後の今日でも通用するのだろうかと、不安になりました。拙稿発表後に加わった記録管理の役割について、「アカウンタビリティ」を保障する砦という考え方について触れていないことであります。「アカウンタビリティ」については訳語として「挙証説明」ないし「挙証説明責任」という訳語が適切であろうと主張して参りましたが、残念ながら「説明責任」という曖昧な訳語が定着してしまい、口先だけうまく説明できれば良いのだという考え方がまかり通るようになっております。記録管理が適切に実行されていれば証拠を提示することが可能であるという考え方が受け入れてられていないということなのかもしれません。「挙証説明責任」を分析枠組図のどこに位置けるのか、あるいはそれよりも分析枠組図がいまでも通用するのか、どれだけ会員のあいだで関心を持っていただけるのか、わかりませんが、検討の俎上に挙げて頂いたことに感謝いたします。(安澤)
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何度かメールのやり取りのあと、3月16日、先生のご自宅を訪問し、多くのお話を伺ってまいりました。先生は研究大会で皆様と議論することを望んでおられますがご高齢であり参加が叶いません。
研究大会では記録管理学についての議論が深化することを期待され次のお言葉を頂いております。
記録管理学の役割として「アカウンタビリティ」を保障する砦という考え方を取り上げていただければ、幸いに存じます。
先生の論考『記録管理を考える』をアップしますのでダウンロードして是非お読みください。 よろしくお願い申し上げます。
2017年3月24日
安澤 秀一. 記録管理学を考える. レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 / 記録管理学会 [編]. (1号) 1989. 2~4