記録管理学会設立趣意書
1989 年3 月18 日
記録することによって情報と知識を伝承することが出来るようになったとき、人類は他の脊推動物と明確に異なる道を歩み始めました。文字および紙の発明はそれぞれ記録の精度と流通を高めて情報と知識が時間と空間を超えて伝承する方法を拡大し、グーテンべルク 革命はその流れを急激に加速して人類による過去・現在・未来の対話を増大させました。
そして、情報技術革命により大量の情報と知識が多様な媒体に記録されているいま、記録の重要性を認識し効果的に管理して新たな情報と知識を創造し人類の記憶の宝庫の豊かな 伝承をはかり、これによって社会の進歩と発展に貢献する必要性が高まっています。
記録管理は記録を作成または収集し、加工・蓄積・組織化し、検索方法を整備して活用に供し、最終処置(破棄または永久保管)するという記録のライフサイクルを対象として統合的な管理をはかります。これらの対象となる記録には組織のエネルギーが込められており、組織知能の基盤となって明日への情報と知識を創造する可能性を抱いています。
記録管理の適切な運用により。仕事の効率向上や対費用効果の増大に加えて、未来への夢を紡 ぐ道を開くことができるのです。ところが、その道を開くために社会の関心を呼び起こし、人々を刺激して記録管理(Records Management)を推進する団体が日本には存在しません。
外国を見ると、国際組織として IRMC(International Records Management Council)があります。環太平洋には、ARMA (Association of Records Managers and Administrators)とICRM(Institute of Ceftified Records Managers)がアメリカに、RMAA(Records Management Association of Australia * 現在はAustralasia ) がオーストラリアに、PRMA ( Philippine Records ManagementAssociation)がフィリピンにあります。また、ヨーロッパやアフリカの諸国も団体を持っています。
日本においても、理論的・実践的に記録管理の展開をはかり、かつ国際的交流の窓口ともなり得る団体を設立する機が熟しています。
記録管理学会は、記録の重要性を認識し、記録に関し人間がどのような行動を選択するかということを科学的に解明し実践的要請への対応をはかるという目的を有します。そして、これらを具現するため(1)機関誌を発行し、(2)研究発表会、講演会、見学会などを開催し、 (3)関連学協会と連絡・協カし、(4)記録管理者を教育・養成し、(5)研究・調査を実施 し、(6)会員相互の情報交換をさかんにし、(7)そのほか、本学会の目的を連成するために必要な事業を行います。